「社員のやる気にふたをしない」社風も特徴的だ。勝算がないことでも、高い確率でやらせてくれるという。

 またJTでの仕事が楽しい理由のひとつに、JTの人は「後輩が好きだ」というものがある。先輩社員は無意識のうちに「変な後輩」を探している。他部門であっても、「あいつは変だ」という話を耳にすると「ちょっかい」を出しにかかる。後輩の何気ない思いつきに対して「おもしろいからやってみたら?」と何気なくサポートするのだ。そうすると、後輩もいつの間にか「やってやろう」となるという。このようにして上下横で「変な人」がつながったネットワークがつくられている。

【必読ポイント!】
◆「流れのいい人」になる
◇「流れのいい人」とは

 著者が人材採用において重視していたのは、能力(ポテンシャル)と成長度(社風に合っているか)だ。それらに加えて、「流れのいい人」であるかどうかにも注目していた。「これからの10年は過去の10年の延長線上にある」という仮説を前提とし、中学に入学する前後からの10年、どのように生きてきたかを質問するようにしていたという。重要なのは「何をしたか」ではなく、ターニングポイントにおいてどのように意思決定をしてきたかだ。

 たとえば、留学を経験した学生が2人いるとしよう。1人は、大学時代に勉強したことの幅を広げるために海外で学んだ。しかしあまりおもしろくなかったので、帰国してから別のことをやり始めた学生だ。もう1人は、未知の分野を学ぶために留学したものの、留学先で別のことに興味をひかれ、帰国してからそちらに取り組み始めた学生であるとする。この例だと、前者は「おもしろくないから別のことをした」わけで、不要なムダが多い。一方の後者は、「もっとおもしろいことを見つけて別のことをした」ため、経験が必要なムダになっている。この場合、後者のほうが「流れのいい人」と判断される。

◇「流れ」をよくする方法

 では、どうすれば「流れのいい人」になれるのか。そのコツは、「偶然を取り入れやすくする態度」と「偶然に対しての前向きな反応」だ。不測の事態に対してもフラットに向き合えば、「おもしろいほう」を選び、いい道を切り開いていける。

 日常のなかで気をつけることは5つだ。(1)頭の中を空っぽにしておく、(2)決断は「おもしろいほう」を選ぶ、(3)変化を愉しむ、(4)おもしろいことの「種」をまいておく、(5)5円玉でも拾う、である。