2メートル以内まで近づくと学びが多い

 私が当社のサービス改革に乗り出した折には、多くの企業で4S運動として取り入れられている「整理・整頓・清掃・清潔」に「接遇」という項目を加えて、「5S」として社内の徹底を図った。

「接遇」には言葉遣いと身だしなみ・姿勢・表情についてこまかな項目を設け、社員に配布した。一部を抜粋する。

 素直な気持ちで、まず「ハイ」と返事しよう。

 相手の話は最後までしっかり聞き、相づち、復唱をしっかりしよう。

 お願いやお断りをするときは、クッション言葉を使おう。

 すべてのひとに好感を与える清潔な身だしなみに整えよう。

 背筋をピンと伸ばして、よい姿勢をキープしよう。

 手や腕を後ろに回したり、腕組みしたりせずに、手は体側に添わせるか前で組もう。

 最初と最後は、必ずアイコンタクトをとろう。

 これらは駅や当社の施設を訪れるお客さまへの応対を想定した訓示であったが、よく考えてみると、2メートル以内のコミュニケーションのなかで私が心得たことばかりだった。

 2メートル以内まで近づくと、学びや気づきもまた多い。
 面会や電話よりもメールでなんでもすませようという風潮がある。だが、やはり直接顔を見て、声を聞いてもらうことにかなうものはないのではないか。

 メールでは“見られる化”は実現できないし、何より私が大切にしている「氣」を伝えようがない。

 メールより2メートルである。

☆ps.
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