現在のように景気がいい状態が続いたとしても、世帯当たりの年収の増加ペースがかなり高まらないと、住宅購入価格と世帯年収の関係は改善しません。景気拡大が続く一方、低金利も長期化しそうですから、需要が強い状況は今後も続きそうですが、「契約率」の上昇を伴った力強いマンション市況になる見込みはそれ程高くなさそうです。

 最後に「在庫率」を見てみます。在庫率は2001年以降、10%から40%の間で上下して、平均は20%です。現在は29%ですから、平均よりも在庫が多いといえます。この在庫の状況も合わせると、住宅市況は景気がよく、低金利が続いて需要が堅調な間は高い価格が続くと見られますが、需要が多少なりとも緩めば、一旦は価格が調整される可能性がありそうです。

 なお、マンション市場には新築だけでなく中古もあります。新築マンションの価格の高まりは中古マンション市場にも大きな影響になって現れています。

 東日本不動産流通機構の調査によると、この7月の成約物件の平均価格は約3300万円で、前年同月比+6%以上の上昇です。価格の上昇(前年比)は、2013年1月から67ヵ月も連続しており、中古マンション市場にも価格上昇の影響が押し寄せています。

 価格を比較すると新築が約6200万円ですから中古は約半分ですが、中古は築後年数が平均で約21年となっていますので、新築価格にドンドン近づいていくと考えるのは難しいと思われます。

 なお、2016年には、首都圏の中古マンションの成約件数が約3万7000戸となり、初めて新築マンションの契約戸数を上回っています。これらのデータからも、新築マンションの価格が多くの人々の購買力を超えていることが示されていると考えられます。

供給増が心配されていた東京のオフィスビル
空室率は依然低水準で、平均賃料も上昇中

 一方、オフィスビル市場は、より明確に好調さが伝えられています。

オフィスビル空室率や平均賃料は、オフィスビル仲介大手の三鬼商事が毎月中旬頃に公表しています。そのデータによると、2012年には9%台だった東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は、その後の景気回復や低金利等を受けたオフィス需要の伸びを受けて低下し、この7月には2.58%となりました。前月と比べて+0.01ポイント上昇しましたが、引き続き低い水準を維持しています。