変質した原油市場、地政学ショックの影響低下Photo:Jesus Vargas/gettyimages

 モニターの不具合ではない。画面の原油価格は正しく表示されている。

 かつてはベネズエラやイランに関するニュースが何か一つ出ただけで原油価格が急騰した。だが今の市場はそうではない。そうではないからこそ、エネルギー投資家にとってつらい状況が一層厳しいものになるかもしれない。

 週末にベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が米軍によって拘束された。これは同国の統治体制にとって、23年前にクーデター失敗とストライキでウゴ・チャベス前大統領が失脚しかけた時以来の大きな脅威だ。現地では多くの石油関連労働者が解雇されて生産が大幅に落ち込み、原油価格は数カ月で40%近く上昇した。

 ただ当時、ベネズエラの原油生産量は世界の3%余りを占めており、市場でも供給過剰は起きていなかった。現在、同国の生産量は日量約90万バレルと、世界に占める割合は1%に満たず、市場は供給過剰だ。

 一方、イランで激化する反政府デモで連想するのは、1979年に同国で起きたイスラム革命だ。この時は原油生産が止まり、世界供給量の7%が失われ、価格は150%上昇した。

 ベネズエラとイランは石油輸出国機構(OPEC)を設立した5カ国の一角で、今も主要国ではあるものの、先の混乱時に比べると影響力ははるかに小さい。3年連続の原油価格の下落は過去に例がない。OPECが自主減産を縮小する中、市場では深刻な供給過剰が続いている。