パナソニック 正念場#16Photo:PIXTA

構造改革中のパナソニック ホールディングス(HD)が、プロジェクター事業を譲渡できず苦慮している。同事業の売却で2024年にオリックスと合意していたが、わずか1年で白紙撤回となったのだ。プロジェクター業界は近年事業環境が急速に悪化しており、キヤノンやNECが相次いで撤退している。特集『パナソニック 正念場』の#16では、レッドオーシャンとなったプロジェクター業界の現状を概観しながら、パナソニックHDが同事業を売却し損ねた理由を明らかにする。買い手の付かなくなったプロジェクター事業は、今後どうなるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)

パナのプロジェクター売却でオリックスと合意も…
「1185億円ディール」は突如破談に

 2025年7月、1万人ものリストラを含むパナソニック ホールディングス(HD)の「大構造改革」に水を差す事態が起きた。オリックスへのプロジェクター関連事業売却の“白紙撤回”が報じられたのだ。

 パナソニックHDは24年7月に、プロジェクター事業などをオリックスへ1185億円で売却すると発表していた。25年6月には、オリックス傘下でパナソニックブランドが消滅する事態に備え、映像ソリューションの新ブランド「MEVIX」を発表し、切り替えを進めていた。

 しかし、オリックスへの事業譲渡は突如として撤回されてしまった。パナソニックグループでプロジェクターの製造や販売などを手掛けるパナソニック プロジェクター&ディスプレイ(PPND)の中堅社員は、「新ブランドの発表当初はオリックスへの売却がなくなるなんて知らされていなかった。これからというときに白紙撤回になり、はしごを外されてしまった」と落胆する。

 実はプロジェクター業界には、セイコーエプソンやシャープ、ソニーグループなど国内大手企業が多数参画している。しかし、次ページの表の通り、キヤノンやNECが撤退するなど、苦境が続いているのだ。

 パナソニックのプロジェクター事業は、なぜ一度は売却が決まり、白紙撤回に至ったのか。

 次ページでは、プロジェクター業界の現状を概観しながら、パナソニックHDが同事業を手放し損ねた二つの理由を明らかにする。買い手の付かなくなったプロジェクター事業は、今後どうなるのだろうか。