つまり、最初の1年足らずで、「民主党時代とは変わったぞ」と強く有権者に印象付け、あとはそのイメージが崩れない程度に、政府支出の拡大を抑えてきたといえる。それがしばらくGDPの頭打ちが続いた主因である。

 いわゆる「アベノミクス3本の矢」のうち、「1本目」の異次元緩和で日銀が国債を買って出したお金は、1年目は、政府の国債発行で玉突き的に「2本目」の財政出動に使われた。だが2年目以降は二本目の矢は放たれなかった。日銀マネーは銀行が日銀に持つ口座に積み上げられるばかりになったわけだ。

 2015年から16年ごろのGDPが伸び悩んだ時期について、もう少し中身を見るために、消費税引き上げ前の、駆け込み需要が起こる前を基準にした、各最終需要項目の増減をグラフにしてみると下のようになる(図表6)。

消費税引き上げ前と比較した最終需要各項目の増減内閣府GDP速報より筆者作成 拡大画像表示

 政府支出は頭打ちと述べたが、内訳を見ると、この時期、社会保障などの政府消費(黄)の増加と公共事業(橙)の減少が打ち消しあっていることがわかる。

 社会保障費は高齢化にともなって自然に増えるはずなので、黄色の幅がそう増えていないのは、それを押さえつけて財政規模を維持してきたわけだ。

 また消費(赤)や住宅建設(桃)のような家計関連支出は、消費税増税後に減少し、近時ようやく戻りつつある。実際、消費税増税後の家計消費の減少7.7兆円は、リーマンショック後の家計消費の減少6.4兆円よりも大幅だった。

 この家計支出の減少を、民間企業の設備投資(青)と純輸出(緑)の増加が相殺した格好になる。この部分が金融緩和の効果となる。

 内需が弱いのでこの時期は設備投資も外需向けが多く、中国株の暴落やブレグジット投票など世界経済の波乱のたびに、頼みの純輸出と設備投資が崩れかけて、景気に黄信号がともった。