西日本豪雨に直撃された
引きこもり当事者たちの安否
220人以上の犠牲者を出し、いまだに行方不明の人たちや家を失った人がいる2018年7月の西日本豪雨。その被災地の1つである広島県でも、JRは山陽線の三原~白市間をはじめ、芸備線、呉線、福塩線の線路が崖崩れなどにより寸断され、今も運休したままだ。また、呉と広島を結ぶ高速道路が通行できず、道路も大渋滞が続いているという。
今回の豪雨は、引きこもり家族会も直撃した。被災地ではいったい、どのような影響があったのか。
「KHJ全国ひきこもり家族会」広島支部の「もみじの会」では、定例会の参加者数が被災前の半数以下になった。
同会の藤岡清人代表によると、特に被害の大きかった地域からの参加者が被災後に途絶え、連絡が取れなくなっている人たちもいて、心配しているという。
「孤立という状態は、豪雨による場合は目に見えるから、国や県の対策も動きやすい。ところが、引きこもりという孤立の状態は、普段から見えない」(藤岡代表)
筆者は、2011年の東日本大震災後、被災地で引きこもる当事たちの被害状況を調べたが、本人たちの存在は当時、普段から発信していなかったり、家族に隠されていたりしたことから、地域でも見えておらず、自力で逃げ出せずに犠牲になる“災害弱者”だったことがわかっている。
「行政は、そういう地域の弱者たちの名簿をつくっているものの、プライバシーなどの問題で上手く活用されていない。民生委員さんが弱者の情報を持っていても、近隣の救助する立場の人に共有されていないから、動きようがないんです」(藤岡代表)
もちろん、こうした名簿の情報共有には、本人の了解が大前提となる。とはいえ、名簿に記載されるのは、あくまでも本人や家族が相談窓口に辿り着くことのできたケースだ。
ましてや、これまでの支援の枠組みからはじかれるなどの様々な理由から、支援や医療など誰ともつながりのない引きこもり本人や家族の数は、自治体の調査を見ても全体層の4割近くにも上っている。