製薬中堅の大正製薬ホールディングス(HD)が今月発表した1912年の創業以来初の早期退職募集結果は、全従業員約6300人の約15%にも当たる948人だった。かつてなく各社がリストラを断行する今年の製薬業界の中で、最多となった。
上原明社長が、「急速な環境変化に対応する」として、募集を公表したのが今年5月。勤続10年以上かつ40歳以上が対象で、その数は全従業員のおよそ半分に当たる約3000人。さらに募集人数は定めなかったため当初から、「今年最大のリストラになる」と業界内で見られていた。
本誌取材や発表で今年明らかになった製薬業界の早期退職は、仏サノフィ日本法人250人超、アステラス製薬600人(年度内想定数)、独ベーリンガー・インゲルハイム日本法人300人超。これに大正HDの948人、昨年末にあった米メルク日本法人「MSD」の約400人を合わせれば、約1年間で計2500人余りが職場を去る異常事態だ(表参照)。
各社が決断した背景には、大型医療用医薬品の特許切れや今春の薬価(医療用医薬品の公定価格)制度の抜本改革がある。