廃校を活用した水族館・むろと廃校水族館(高知県・室戸市)が人気を集めている。オープンから3ヵ月半で、来館者は6万人を超えた。いかにして日本初の廃校水族館が誕生したのか、そのオープン秘話に迫った。(清談社 真島加代)
小学校の25メートルプールに
ウミガメとサメ!?
小学校の屋外プールを優雅に泳ぐサメやウミガメの映像がネットで話題になったのは4月下旬のこと。異世界に足を踏み入れたような不思議な風景が楽しめるのが、高知県室戸市岬町にある「むろと廃校水族館」だ(Twitterアカウントはこちら)。
むろと廃校水族館は、その名の通り廃校舎を利用した水族館。児童減少にともない、2001年に閉校し、2005年に廃校になった椎名小学校が、13年の時を経て2018年に水族館として生まれ変わったのだ。
「われわれが想像していたよりも多くの来館者が訪れています。子どもは純粋に生き物に喜び、大人は懐かしさを感じていますね。キャッチコピーの『いつでも参観日』には、廃校に再び子どもたちの笑顔と声が戻ってきてほしい、老若男女が気軽に訪問できる、ハードルが低い場所になってほしいという、2つの想いが込められています」
そう話すのは、むろと廃校水族館の若月元樹館長。同館には現在、約50種1000匹以上の海の生き物が飼育・展示されている。そのすべてが室戸産の生き物たちだという。
「地元の漁師さんたちからいただいた、定置網漁でかかった生き物や、職員が釣ってきた魚を展示しています。一般的な水族館では、展示魚種を決めてから水槽やスペースを用意するのですが、当館では獲れた魚に合わせて水槽を準備する流れになっているのも特徴のひとつです」