6月5日、JR東日本は2020年春開業予定の山手線新駅の名前について、一般公募を実施すると発表した。駅名公募や周辺地名の“合成”など、駅名決定には面白いトレンドがある。また、実は高額な改称費用など、「駅名」の謎を探ってみよう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
関係者の思惑が交錯
新駅の駅名はどう決まるのか?
JR山手線に半世紀ぶりとなる新駅が開業する。
場所は、田町駅から1.3km、品川駅から0.9kmの地点にある品川車両基地の跡地。車庫機能を移設、集約して生み出された約13ヘクタールという広大な用地を再開発し、「グローバル ゲートウェイ品川」をコンセプトとした国際交流拠点が誕生する。その玄関口となるのが仮称品川新駅である。街びらきに先行して、2020年春に暫定開業する予定である。
駅が街の玄関口なら、駅名は表札にも等しい存在であり、エリアのイメージを左右する駅名の決定に際しては様々な関係者の思惑が交錯する。そうした事情に対応するため、一時期はやったのは、2つの地名を”合成”した駅名。地下鉄南北線の「赤羽岩淵」や「白金高輪」、都営大江戸線の「若松河田」や「清澄白河」がそれに当たる。
近年は、公募によって駅名を決定した事例が増えている。
JR東日本も6月5日、品川新駅の名付けに関して、同社では初めてとなる駅名の一般公募を実施すると発表した。もっとも応募数によって決める多数決ではなく、応募されたすべての駅名を参考に選考するとのことだ。結果は今年の冬ごろ発表されるという。
また、今年4月にJR両毛線の足利~富田駅間に開業した「あしかがフラワーパーク駅」は、足利市が2015年に市民を対象に行った駅名公募で、最多だったことから決定された。
2017年4月に秩父鉄道秩父本線の持田~熊谷駅間に開業した「ソシオ流通センター駅」は、熊谷市と行田市にまたがって設置されることから、両市によって駅名の公募が行われた。応募数では「流通センター」が最多だったが、東京モノレールに同名駅が存在するため、施設の愛称を付けて「ソシオ流通センター」駅に決定した経緯がある。