自分の力を超えたければ、「2ランク上」の眼を持つ
(株)アースホールディングス取締役(株)サンクチュアリ代表取締役
日本最大級の240店舗を展開する美容室「EARTH(アース)」を運営する、(株)アースホールディングス取締役[スタッフ3000名、年商180億円]。うち70店舗をフランチャイズ展開する、(株)サンクチュアリ代表取締役も兼任。(株)サンクチュアリは、自社から輩出したフランチャイズ30社とともに、関東、甲信越、東海、北陸、北海道、福岡で展開[スタッフ900名、年商50億円]。1976年、静岡県生まれ。高校卒業後に上京し、19歳で年収180万円から美容師を始め、31歳で年収1億円を超える。19歳から23歳まで、ほぼ休みなく仕事をし、24歳から39歳までは、始発から終電まで365日、15年間、1日たりとも休みなく仕事。40歳からは、仕事と遊びの壁が、完全になくなる。愛車は、フェラーリ488スパイダー。趣味は「仕事」。
私は、2016年の新春に、ベッド用のマットレスを買い換えました。18歳のときに「1万円」で購入したマットレスを、22年間使い続けていたのですが、さすがに寝心地が悪くなっていたのです。
某家具店の新聞折込チラシの中に「1万9800円」のマットレスを見つけた私は、さっそく、買いに行くことにしました。部屋着のまま財布だけ持ってお店に向かうと、高瀬(仮名)というネームプレートをつけた店員さんが話しかけてきました。
私は、買い物に時間をかけるタイプではないですし、売り込まれるのもイヤなので、「1万9800円」のマットレスを、さっさと買って、早く店を出たかったのですが、高瀬さんは、「2ランク上」の眼を持って私の言動、判断力、顔つきを見極め、そして、「このお客様(私)は、アスリートのように仕事に対してストイックであり、仕事のための投資は惜しまない」ことを見抜いたのだと思います。
次のような言葉で、私の心をくすぐってきたのです。
「こちらの広告のお品の前に、一度、こちらのマットレスもお試しになってみませんか?このマットレスはアスリート仕様で、世界中のトップアスリートが遠征先にまで持ち込んでいるそうです。ただし、お値段は20万円いたしますが」
私は、自称「ビジネス・アスリート」ですから、「アスリート仕様」という言葉に興味を引きつけられました。けれど私にも、「常に持ち歩いている電卓」で養った「ものを見る目」があります。「買えない値段ではないが、このマットレス1枚に20万円を払う価値はないのでは?」と判断し、「すごく、高いですね」と返事をしました。
おそらくこのとき、高瀬さんは「このお客様は、お金がないから高いと言ったのではなく、『価格に見合っていない』と判断したのだろう。価値あるものには、惜しみなくお金を出すはずだ」と考えたはずです。あろうことか、高瀬さんは、「20万円は高い」と言った私に、さらに高いマットレスを紹介してきたのです。
「では、こちらは、いかがでしょうか?このマットレスは、超一流ホテルのスイートルームでも使われているマットレスです。どうぞお試しください。横になっていただければ、一瞬で違いがわかります。きっと、雲の上に乗っているように感じるはずです。なにしろこのマットレスは、『世界最高峰』のマットレスです。このマットレスをお使いいただければ、世界最高のコンディションで仕事をしていただけると思います」
「世界最高峰」という言葉の響きに心が揺さぶられた上に、高瀬さんの次の言葉が決定打になりました。
「このマットレスは少なくとも20年はお使いいただけます。1日に換算すると、いくらだと思われますか?1日わずか274円です。つまり、1枚、200万円になります」
「1日274円」という数字を聞いたとき、私は、「1枚で200万円」するこのマットレスの購入を決めたのです。「200円(にちゃく・えん)」ではありません、「200万円(にひゃく・まんえん)」です。
しかも、「3枚」まとめて(そのうち2枚は両親へのプレゼント)。
高瀬さんは、「1万9800円」のセール品を購入しにきた私に、「600万円」を売り上げることに成功したわけです。
それができたのは、高瀬さんが「2ランク上の視点」で仕事をしていたからです。高瀬さんは、相手(私)の様子をつぶさに観察し、いくつもの情報を察知する「高い感性」を持っていたのです。
たとえ、自分のランクが低くても、「2ランク上」になったつもりで思考をし、言われたこと以上の仕事を、自己責任ですると、次第に、自分の力を大きく超えた実績を手にすることができるようになるはずなのです。