サウジアラビア反体制派記者ジャマル・カショギ氏の失踪は、サウジとの取引に関して企業に再考を迫っている。2001年9月11日の米同時多発テロ事件以来、サウジとの関係見直しとしては最大の動きとなりそうだ。ただ、この事件がサウジに対する企業姿勢の転換点ではなく、広報活動の一環のように終わったとしても、投資家は驚くべきではないだろう。金融大手やテクノロジー会社の最高経営責任者(CEO)らは、。その裏にあるのは、自社の評判が傷つきかねないとの客観的な判断だ。誤った理由で世界の注目を集めている政権と良好な関係を維持すれば、会社のブランドが失墜しかねない。カショギ氏殺害疑惑は、イエメン内戦よりも大きなニュースとなっている。米外交評議会(CFR)によると、イランの支援を受けた武装勢力に対するサウジやアラブ首長国連邦(UAE)主導の空爆が直接または間接的な原因となって、イエメンでは2015年以降に1万6000人以上の民間人が犠牲になった。