民主党は、小沢一郎元代表の一審無罪判決を受けて、同氏の党員資格の停止の解除を決めた。だが翌9日、大方の予想に反して、検察官役の指定弁護士は、判決を不服として東京高裁に控訴する方針を発表した。

 この控訴に対しては、追加される新しい証拠の有無、一審判決の重み、そして検察審査会の議決による強制起訴の妥当性などについてかなりの異論がある。私も控訴を断念するのが妥当だと考えていた。

 指定弁護士は政治的影響については考慮していないという趣旨の発言をしているが、この控訴方針から、政治的臭いを感じる人は少なくないだろう。

控訴によって封じられた
小沢氏の“最後の切り札”

 さて、これで党員資格停止の解除が取り消されることはない。9日現在、そう輿石幹事長も明言している。

 しかし、無罪が確定しなかったことにより、小沢氏の政治活動はかなり限定されたものにならざるを得ない。

 まず、9月に予定されている民主党代表選に立候補することや、小沢新党の党首になることは事実上不可能になった。

 小沢氏はもともとトップに立つことに執念を燃やす人ではないが、それでも小沢グループからすると最後の切札になる可能性が閉ざされた政治的影響は大きいだろう。