「役員になれる管理職、なれない管理職の決定的な違い」の回でもお話ししたことですが、できる人というのは、自分のことを客観的に分析できる能力があります。自己認識と他人の評価があまり変わらないのです。それはひいては、自分に向いていることは何かということを客観視できていて、向いていることを仕事にしているということにもつながっています。

 自分のことを客観視するためには、自説に凝り固まらず、他人の意見を受け入れる度量も必要です。営業から帰ってきて、自分の机に直行して、周りをシャットアウトするのではなく、他人が声をかけやすいオープンな状態でいること。そうすれば、話しかけやすく、他人からちょっとした意見やアドバイスをもらいやすくなります。

営業用に人格を使い分ける
気が弱い人には気が強いキャラで

 また、できる営業職の人は、仕事上の人格をいくつも持っています。演じられる人格がたくさんある、演じる役割の引き出しが多いというべきでしょうか。営業先というのはいろいろです。一般的に、営業先に対するときは、相手と同じタイプの人格で臨むよりも、正反対のタイプのほうがうまくいく確率が高いのです。

 例えば、気が弱い人に同じような気が弱いタイプの人が行っても、あまり成果が上がりません。気が弱い人には気が強い人のほうが話を進めやすいのです。

「私は保険に入ってないんですけど、結婚していないし、あまり必要ないような気がして……」と、いかにも決然としておらず、自信なげに言うような人に、「そうですね、どうなんでしょうね、必要ないという考え方もありますけれど、たぶんそんなこともないと思いますよ」と同じようなトーンで、遠慮がちに言ってもらちが明きません。そこは、「何を言ってるんですか。あなたが若くして病気になったら親不孝ですよ。その上さらに親に治療費や入院代を出させて迷惑をかける気ですか」と強い調子で言うほうが、断然効果があります。

 これとは逆に、押しの強い人には、あくまで柔らかく接するのが基本です。企業の社長は「俺は忙しいんだよ、保険の営業の話なんて聞いている暇はない」という人がほとんどです。そこに、「社長、保険に入らなきゃダメじゃないですか」と強く説得しようとしてもまったく聞き入れられないどころか、不興を買うばかりでしょう。