「就労」ではなく「自分に合った生き方」を模索している引きこもり経験者が、注目され始めた。自分らしく生きるために、彼らは何を捨て、何を選んだのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

高校時代に引きこもり、ゲーム三昧
「自分は本当は何をやりたいのか?」

「就労」ではなく「自分に合った生き方」を模索している経験者の実践例が注目されている。ひきこもり家族会による「自分らしい生き方シンポジウム」も、11月25日に大阪、来年1月14日には東京で、それぞれ開かれる。

 大阪府に住む児島一平さん(47歳)は、大手企業の会社員だった父親と専業主婦の母親の家庭で生まれ育った。小学4年のとき、ニュータウンに転居。周囲の価値観は、いい大学を出て、いい会社に入るのが当たり前のような成績重視の風潮だった。

 児島さんも、中学3年までは勉強一筋で頑張って進学校に入学した。高校に入ると、さらに勉強量が増えて、「何のために、こんなに勉強するのか?」と考えるようになったのがきっかけで不登校になり、高校時代はほとんど学校に行かずに引きこもった。

 引きこもっていたときは、やることがないので、パソコンで遊んだ。その経験が活きて、一旦はIT系の企業に就職したが、営業現場での世間話やコミュニケーションができず、つらくなって無断欠勤の末、再び引きこもった。

 その後、試行錯誤の末、大学に入学、会社にも就職したものの、34歳のときに勤めていた会社が倒産。児島さんは「チャレンジするしかない」と思って、レンタルボックス事業の店を出した。3年後、リーマンショックで売り上げが低迷。2011年の東日本大震災で、一気に不景気に見舞われた。

 児島さんは、社会に対して特に期待はしていなかった。今になって、「当時はそう社会に思わされていたのかもしれない」と振り返る。

 人生を何度も建て直し、リサイクル品のネット販売を始めた。しかし、何のために働いているのか、わからなくなった。自分が一生懸命築き上げたものは、リーマンショックなどでひっくり返される。経済を追いかければ追いかけるほど、振り回される。

「本当は何をやりたかったのか?」「本当に自分はそう思っているのか?」そんな禅問答のような自分とのやりとりを始めた。