ソフトバンク孫正義氏
Photo:Reuters

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 ソフトバンクグループ(SBG)創業者の孫正義氏は、未来について語るのを好む。孫氏が語る未来とは、人工スーパー知能(ASI)やブレーンコンピューター、自動運転車など、人間よりも機械に関することだ。だがその孫氏は今、人間が引き起こした厄介な問題に対応するよう迫られている。

 ソフトバンクの株価は1日の東京市場で8.2%急落して終えた。携帯国内最大手のNTTドコモが、来年4月から携帯電話料金を最大40%値下げすると発表したことが売り材料だ。NTTドコモが値下げに踏み切る背景には、競争の欠如が携帯電話料金の高止まりを招いているとして政府幹部が最近、不満を表明したことがある。日本の携帯業界は事実上、ドコモとソフトバンク、KDDIの大手3社による寡占状態にある。

 政府が携帯会社の料金設定を指示することはできない。だが日本政府はドコモ親会社の株式35%を保有しており、ある程度の影響力を持つ。KDDIとソフトバンクは値下げ計画を発表していないが、市場の圧力により、NTTドコモと同じ道をたどることになる可能性が高い。1日の取引では、携帯大手3社の時価総額が計310億ドル(約3兆5000億円)吹き飛んだ。

 携帯料金値下げは、携帯電話子会社の新規株式公開(IPO)を計画しているソフトバンクにとっては、とりわけ大きな痛手となる。ソフトバンクはIPOの調達資金をリスクの高いハイテク投資や、巨額債務の圧縮に充てることを目指している。携帯子会社の4-6月期営業利益は、ソフトバンク全体のおよそ3分の1を占めており、同社にとって携帯子会社は、安定収益をもたらすドル箱だ。