2万人をみてきた組織開発コンサルタント・勅使川原真衣氏の著書『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』がついに刊行。坂井風太氏も「革新性がある」と絶賛した同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

組織の違和感Photo: Adobe Stock

無駄な会議が減り、時間も短縮されたけれど

 職場の働き方改革が進められるようになって以降、「会議時間は短縮するべきだ」という風潮がある。

 実際、昔はダラダラと長い会議が多かったように思う。会社員をしていた頃は、毎月の定例会議、全社会議、部内会議、職場改善会議などなど、頻繁に会議が行われ、「長いな……早く仕事に戻りたい……」と思っていた。

 近年、無駄な会議を見直し、時間を短縮できるようになったのであれば、良いことだろう。

 また、オンライン会議が普及したことによって、会議のための移動が減ったのも大きい。

 遠方から新幹線で移動して人が集まるような場合、「今日は会議の日」ということにせざるをえなかったこともあるが、移動の時間がないのなら一日中会議をする必要もない。会議が終わったら通常の仕事に戻ることができるからだ。

 会議に関していえば、かなりタイパが良くなったのではないか。

 その一方で、「雑談が減ってしまったのは良くない」という声も聞く。会議時間が短くなったので雑談的な話ができなくなったとか、オンラインでは雑談ができないとか。

 そこで、会社として積極的に雑談を取り入れようという動きも出ているようだ。

 会議は短く、雑談は積極的に―。

 果たしてこれはうまくいくのだろうか?

時間がないというプレッシャー

 組織開発コンサルタントの勅使川原真衣氏は、『組織の違和感』(ダイヤモンド社)の中で、単に会議時間を短くすればいいわけではないことを指摘している。

ただ時間を短くしただけでは、時間がないというプレッシャーで、ただの「報告」になってしまいます。もしくは、すでに決まった答えありきの一問一答で、順繰りに答え合わせをしている感じになってしまう。
――『組織の違和感』p.237より

 そのとおりだと思う。「時間がないというプレッシャー」を与えて、会議時間を短縮できたとしても、それで意味のある会議になっているかが重要なところだ。

 わざわざ集まるからこそ生まれる議論、アイデア、解決策があるから会議をするのであって、それがないなら、そもそもやる必要がないという話になる。

だからこそ、一問一答形式のような「YES/NO質問」ではなく、「考えを引き出す質問」を重ねていくことが大切です。
たとえば、
「まだちょっとうまく言えないんだけど実は前からしっくりこないことが……」
「こっちを立たせるとあっちが立たず、のようなことが最近特に発生していて。お知恵を貸してください」
など、葛藤や困難事例こそ会議で話すのです。

――『組織の違和感』p.238より

 これこそ話し合う意味のあることなのだが、「時間がないというプレッシャー」の中で話すのは難しいだろう。

雑談しろと言われても……

 だからこそ「雑談しよう」という流れができているのかもしれない。本当は話し合って解決すべきことを、雑談の体で何となくやろうとしているのだ。

 しかし、「さぁ、雑談しましょう」と促したところで、組織にとってうまく機能する雑談ができるとはあまり思えない。

 勅使川原氏も、雑談はとても難易度が高いと言っている。よほど観察に長けている人か、メンバーと盤石な関係性を築いている人でなければ、一部の人だけの内輪ネタになったり、単なる無駄話だと思われたりしてしまう。

「雑談をしなくちゃいけない」と決めつける前に、まずは「なぜこの会議は盛り上がらないのだろう」「会議に期待することって何だっけ?」と、そもそもの問題に立ち返る必要がないでしょうか。
――『組織の違和感』p.240より

 会議であれ、雑談であれ、いま抱えている葛藤や困難事例、「違和感」を話せる組織にすることが重要なのである。

(本稿は、『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』の発売を記念したオリジナル記事です)

小川晶子(おがわ・あきこ)
大学卒業後、商社勤務を経てライター、コピーライターとして独立。企業の広告制作に携わる傍ら、多くのビジネス書・自己啓発書等、実用書制作に携わる。自著に『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『オタク偉人伝』(アスコム)、『超こども言いかえ図鑑』(川上徹也氏との共著 Gakken)、『SAPIX流 中学受験で伸びる子の自宅学習法』(サンマーク出版)がある。