毎朝新聞を奪い合う
キレる老人たちの逃避場所

 別の図書館に勤務する司書は「高齢者同士の新聞の奪い合いで大騒ぎもよくあります」という。そして、「逆ギレ」や「怒鳴る」高齢者には男性が多く、何か社会へのストレスを発散させているように感じるそうだ。

「仕事が人生だった」というような人は、定年退職後に自己アイデンティティーを見失いがち。そんな高齢者にとっては、図書館は居場所というより現実逃避場所にしかならないのだろう。

 繰り返しになるが、人生100年時代といわれる現代で、高齢者が前向きに生き生きと生活をするための居場所づくりは永続的な課題である。地域社会とつながり、自発的に新しい目標を立て、豊かな生活ができる、そんな高齢者の生活を支えるには一体何が必要なのだろうか?

 認知症への対応はもちろん、健康や相続など、高齢者を取り巻く環境から、新しい高齢者向けサービスのヒントを図書館で見つけることができるかもしれない。図書館は理想を語ることのできる場所。周囲もポジティブに高齢者が社会参加できる仕組みづくりを応援することで、「キレる老人の館」という誰の役にも立たない、世にも恐ろしい図書館の出現を防ぐことができるのである。

(まついきみこ@子どもの本と教育環境ジャーナリスト/5時から作家塾®)