11月12日にペンス米副大統領が来日、年明けから始まる日米間の「物品貿易協定(TAG)」交渉の地ならしが行われる予定だ。TAGは、9月の日米首脳会談で合意されたものだが、実質的には日本がこれまで回避してきた「日米自由貿易協定(FTA)交渉」の色彩が濃厚だ 。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)
中国に「貿易戦争」を仕掛け、メキシコやカナダには「NAFTA(北米自由貿易協定)」見直しをのませるなど、荒っぽいやり方で貿易不均衡是正という“公約実現”に突き進んできたトランプ大統領は、中間選挙での“歴史的勝利”を背景に、自動車部品への25%関税や為替条項などをちらつかせて、農業分野の一層の市場開放を始めとする 成果を求めるとみられる。
日本にとっては“想定外”の出来事の末に追い込まれたFTA交渉で、日本は受け身を余儀なくされそうだ。
トランプ大統領の「脳内摩擦」
対応に苦慮する日本政府
「80年代の日米摩擦は実体のあったリアルな摩擦だったが、今回はトランプ大統領の頭の中だけ、いうなれば“脳内摩擦”だ」。
経産省幹部の1人は、これまでと勝手の違う対米交渉に当惑気味だ。