この北京・天津・雄安新区を囲んだ巨大な三角形は、関東平野まるごととか香港・深セン・東莞・珠海・広州などが含まれる珠江デルタ全体ぐらいの面積になるが、ここをまるごと開発しようという巨大なプロジェクトの皮切りが雄安新区である。昨年3月に雄安新区をレポートしたライターの安田峰俊さんのレポートによると、かなり強引な立ち退きが行われたようだ。

 2017年から開発が始まった雄安新区を、実際に見てきた取材記はまだ少ない。まだ高速鉄道も完成しておらず、雄安新区や周辺に外国人が宿泊可能なホテルもなく、数十キロ離れた保定市からタクシーを飛ばす必要があるなど、しばらくは気軽に取材できる場所にならないだろう。

 僕はたまたま、10月18日~24日に行われた河北工業設計週イベントのスピーカーとして雄安新区に招かれ、現地の街並みや実験店舗などを見てきた。

自動運転の実験区として
 活用されている雄安新区

 今の雄安新区は、立ち退きによってできた数km四方の空白地の中、500m四方ほどの面積だけが舗装され、建物が並んでいる。そのエリアは「雄安新区市民中心」と名付けられている。ほとんど人が住んでいない雄安新区で市民中心とはブラックジョークのような地名だ。

(1)市民服務中心のさらに真ん中にある、共産党支部。政治主導で作られた街の象徴だ/(2)商店街やオフィス街と名付けられた一角もあるが、まだ立ち入る人が少なく、閉めている店も多い/(3)インタラクティブに表示される街の地図。まだ計画的に配置された施設しかない/(4)造成が終わった市民服務中心エリアを外れると、荒野の中に建設工の仮設住宅があるほかは何もないエリアが数キロ続く 拡大画像表示

 現在の雄安新区で代表的な「市民」は自動運転車などのロボット群と、その実験をするエンジニアたちだ。百度(Baidu)の出資を受けている阿波羅(Apollo)社の自動運転技術の実験が大々的に行われている。