周囲は、「引きこもり」とか「働いていない」人などと聞くだけで、「普通」の人と線引きされて「社会不適合」の対象として見ようとする。冒頭、「お兄さん、引きこもりなんだって? 悪いのは、本人と親。人を救えるのは、愛だよ」などと説教された妹は、「人は救えませんよ」と相手に返す。

家族が自問自答する「身内の死」
背負っているものを重く考えすぎる

 野尻さんは、こう続ける。

「結局、亡くなってしまうと、兄がどう思っていたのか、それぞれが一方的に想像するしかない。それはしんどいですよね」

 出演者は、父親役の岸部一徳さんをはじめ、原日出子さん、加瀬亮さん、岸本加世子さん、大森南朋さん、そして2000人の中からワークショップで選出された妹役の木竜麻生さんなど、演技派が揃う。

 脚本を見た出演者たちは皆、すぐに気に入ってくれて、出演を承諾してくれたという。

 野尻さんは、映画を撮り終わっても答えを出せずに、「家族は厄介なものだと思う」と分析しつつ、「でも、その厄介なものを一度試しに背負ってみて欲しい。もしかしたら自分が思っているよりずっと軽いかもしれない。そこからもう一度、家族について考えてもらえれば」と訴えている。

『鈴木家の嘘』は16日から、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかで全国ロードショー。上映についての情報は公式サイト www.suzukikenouso.com