この道一筋で生き残る方法
変化が著しい時代、何か一筋で過ごしてきた人が生き残る方法とは?(写真はイメージです)Photo:PIXTA

一筋は本当にいいことばかり? 
実は「○○一筋」には二種類ある

 世の人は「○○一筋」が好きだ。「この道一筋ン十年」というと聞こえがいいし、いかにもプロフェッショナルという気がする。副業が解禁になっても年配の方を中心にあまり他で働くことをよしとしないのは、日本の組織文化として、「一筋」が好まれる風土があるからだろう。

 ところで、よくよく考えてみると一筋には実は2種類ある。

 1つは、携わっている領域に対しての一筋。すし職人、漆職人などの職人や、組織の中の専門職や研究職で1つの領域で自己研鑽している人もこれに当たる。

 もう1つは同じ組織にずっと所属しているという意味の一筋である。生え抜きの社員、どこどこ会社、どこどこグループ一筋といった具合だ。
 
 われわれは日頃、この2つをあまり区別せずに「一筋はすごいねー」などと言っているが、実はそれぞれ別の価値を表している。

 まず「領域一筋」はその領域における技術や技能の向上、いわば「卓越」を求めている。脇目も振らず自分の分野の深掘りに精進し、プロフェッショナルとして、その分野を極めようとする。

 一方、「同じ組織一筋」は、その組織への「忠誠」がキーワードだ。組織目標の達成や一緒に働く仲間たちへの思いがその核となっている。

 2002年、読売巨人軍の松井秀喜さんがメジャーリーグに行きたいという意思を表明した際に、レベルの高い場所でプレーしたいという思いから、「最後まで夢というか、向こうに行きたいという気持ちが消えませんでした」と語った。同時に「何を言っても裏切り者といわれるかもしれない」と話したことを思い出す。バットマンとしての「卓越」を求める行動と、組織への「忠誠」が両立できなくなったのである。