世界最高峰の棋士に勝った
グーグル「アルファ碁」の衝撃
グーグルが開発したAIの「アルファ碁」が、世界最高峰の囲碁の棋士を破った。実はこの話、以前、IBMのコンピュータがチェスの世界チャンピオンを破ったときとはインパクトが違う。
まず第一に囲碁についての思考難易度はチェスをはるかに上回る。第二に今回のコンピュータはプログラムで勝ったのではなく、思考力でプロ棋士に勝ってしまった。
実は今回の話の一番恐ろしいところはここにある。以前のチェスのときのように、チェスを指すプログラムと計算処理が人間に勝ったのではない。囲碁をプロ棋士のように学習するようプログラミングされたAIが、過去の棋譜を読みながら急速に囲碁を学び、あっという間に人間の最高峰に勝つところまで囲碁がうまくなったのだ。
これをディープラーニングといって、AIの世界で起きた50年ぶりのブレークスルーといわれるぐらいすごいことだという。
なにしろ「アルファ碁」に負けた試合の感想戦でこんなことがあったらしい。感想戦とはプロ棋士同士が、その試合の棋譜をみながら、どこで勝ち負けの分かれ目になったのかを議論する場である。今回の感想戦では、プロ棋士にミスがあったわけではなかったそうだ。
にもかかわらず、ある局面でプロが「なんでこんな手を思いつくんだろう?」と思うような手を「アルファ碁」が打ってきて、結果的にはそれが効いてプロ棋士が負けてしまった。つまり、最高峰の人間よりも鋭い直観力をAIが持つようになったのだ。