冷凍食品(冷食)はコンビニの救世主になれるのか――。コンビニではこれまで目立たない存在だった冷凍食品がにわかに注目されている。セブン-イレブン・ジャパンでは冷食の販売実績が10年前の2008年に比べて5倍以上に拡大しており、ローソンやファミリーマート、ミニストップでも好調だ。この冷凍食品、実はコンビニ的には“都合”が良い商品なのである。コンビニ低成長時代を迎え、食品スーパーやドラッグストアなど新たな競合関係も発生しているなかで、冷凍食品の拡大はコンビニの成長にとって切り札になりそうなのだ。(流通ジャーナリスト 森山真二)
中高年層の利用客が増えている
セブン-イレブン
「(コンビニの中食対応は)冷凍、冷蔵、常温の温度帯の商品をうまく組み合わせて販売していくことがカギだ」。ユニー・ファミリーマートホールディングスの前社長だった上田準二氏がこう語ったことがあるが、まさに、そんな時代が到来している。
「コンビニは冷凍食品の品ぞろえが良くなってきたわね」とある60代の主婦は話す。有職主婦の増加や高齢化で、コンビニはもはや若者だけの店ではない。高齢者も“冷蔵庫”代わりに活用している。
セブン-イレブンの利用客の年齢構成は人口動態の変化に合わせるように高齢化しており、すでに40歳以上の中高年層の割合は50%を超えている。
20代までが50%以上を占めていた30年前に比べ逆転しており、すでにコンビニは若者の店ではない。
現在、セブン-イレブンは加盟店の売り場の新レイアウトへの変更を進めている。変更の狙いは50%以上の構成比になっているシニア層の取り込みを一段と図ろうというものである。