ジャミル・ガーニジャミル・ガーニ/2004年、米ハーバード大学大学院修了。ボストン・コンサルティング・グループ、ゼネラル・ミルズ、ウオルト・ディズニー・カンパニー、ターゲットなどを経て、2017年より米アマゾンのプライム事業の国際展開を統括するバイスプレジデント。 Photo by Hiroyuki Oya

週刊ダイヤモンド2月2日号の第一特集は「サブスク革命 定額課金の衝撃」。継続的に顧客に課金し、商品やサービスを利用してもらうサブスクリプション型のビジネスモデルの最前線をレポートした。今や全世界で1億人以上が利用するようになった米Amazonの有料会員制サービス「Amazonプライム」。世界でも有数な巨大会員制サービスへと成長し、Amazonの主力事業となったプライム事業を統括するバイスプレジデントのジャミル・ガーニ氏を直撃した。(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

──Amazonのプライム会員数が世界で1億人を突破したとジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)が4月に公表しました。なぜ、ここまで支持を集めることができたのでしょうか。

 1億人という数字よりも、顧客に届けている価値が重要だとわれわれは考えています。Amazonの行動原理はとてもシンプルです。顧客が何に満足するかといえば、豊富な品ぞろえ、かつ低価格で、利便性があって速く届くことです。「プライム」はAmazon全社のイノベーションを結集させた、ユニークな会員制プログラムで、配送や買い物、デジタルエンターテイメントなど、Amazonの“全てのベスト”を利用してもらうために会費をいただいているのです。

 ジェフが言及した1億人という数字は、こうしたミッションをわれわれが達成しつつあるという表れ。顧客の生活をより便利に、より楽しくできているからだと考えています。

──これまで非公表だったプライム会員数を公表したのは、1億人という数字は1つの節目だったからですか。

 もちろん社内で会員数は随時モニタリングしていて、1億という数字はエキサイティングでした。ですが、この数字そのものが目標だったのではなく、1人目の会員であろうが、1億人目の会員であろうが、顧客一人ひとりに届ける価値の方が重要で、品ぞろえや利便性を向上させていきたいと考えています。プライム会員に対し、配送や買い物、デジタルエンターテイメントの会員特典をきちんと届ける。この先、増えていく会員にも同じことを続けていきます。