背景に3つの力学が働いた
「反ゴーン」派と経産省の思惑は一致

 つまり、事件は(1)日産社内の対立、(2)経産省の意向、(3)アメリカ政府の意向が反映した複合的な結果だと、思われる。

 こうしたことををいうと、陰謀論かといわれそうだが、少なくとも有価証券報告書の虚偽記載はあったと考えていいし、何らかの立件が行われるはずだ。

 だから、その背景を論じても犯罪をでっちあげたということにはならないだろう。その意味では、陰謀論ではない。

 そこで、事件の背景だが、社内対立があったのは間違いないと思われる。

 というのは、事件は内部通報、つまり“たれ込み”から発覚しているからだ。内部通報を社内で検討した結果だから、社内対立を否定する材料はない。

 これは、11月19日のゴーン氏逮捕の直後に行われた西川社長の会見(https://www.youtube.com/watch?v=tg07t4FxFhI)でも明らかだ。

 内部通報を受けてから数ヵ月もゴーン氏とケリー氏の内部調査し、同時に検察当局への報告もしていたという。

 ゴーン氏は仏ルノーのトップでもある。ルノー社はもともとフランス政府が筆頭株主になっている国有企業だ。現大統領のマクロン氏は、経済・産業大臣の時に、フランス政府とルノー社の距離を縮めた功績がある。

 ゴーン氏は当初、フランス政府と距離を置いていたが、今年2月に、ルノーの会長任期の更新の時期に、かなり政府との関係が近くなったとされる。
 
 ゴーン氏が会長を引き続いてやるもとで、ルノーが日産を「統合」し完全子会社化するという構想が動き出したとも報じられている。

 この情報は当然、日産社内でも知られているだろう。

 そこで、日産社内の反ゴーン派は、フランス政府との対抗するために、日本政府のサポートを得たかっただろう。

 そこで、経産省の意向がでてくる。

 日産は今年6月に社外取締役として経産官僚OBを入れた。

 実はゴーン体制以前の日産は経産官僚の天下り先だった。それが絶えて久しかったが、6月に再び受け入れた。

 しかも、元経産審議官という経産省の事務方でナンバー2だった人物だ。

 これで、今回の情報は、経産人脈のルートで経産省や官邸に流れ、いざというときの「保険」として日本政府が出てくる用意が整ったということだろう。