スーツ業界にとって、悪夢のような夏だった――。紳士服大手の青山商事、AOKIホールディングス(HD)、はるやまHDは4~9月の半期業績で、コナカは2018年9月期の通期業績で最終赤字に陥った。4~9月の半期業績では、青山商事は8年ぶり、AOKI HDは初の最終赤字である。青山商事、AOKI HDは3月期の業績予想も下方修正した。
赤字決算の元凶は本業である紳士用スーツの販売不振だ。昨年の秋冬の数字が反映されているコナカ以外は、スーツ事業で営業損失が出ている。
原因は二つある。まず天候だ。今年は豪雨と台風、そして猛暑という天候不順が消費を冷え込ませ、アパレル業界全体を冷え込ませた。
そしてもう一つ、アパレルの中でも特に紳士用スーツにダメージを与えたのが、「働き方改革」だ。
伊藤忠商事が昨年「脱スーツデー」を設けて話題になったが、クールビズの前倒しに加え、大企業でオフィスカジュアル化が進み、ジャケットとパンツを組み合わせたり、スニーカーに合わせるなど、機能性を重視するファッションが一気に浸透した。紳士服各社は「洗える」「しわにならない」など機能性の高いスーツを投入して対抗したが、「それだけではなく、そもそもスーツを着ない会社、世代が増えている」と青山商事の山根康一執行役員は現状の厳しさを語る。