ちょっとした手土産に、バレンタインの贈り物に――。高級チョコレートの代名詞ともなったゴディバの日本事業の売却に、買い手として三菱商事の名前が挙がっていることが、コンビニ業界にさざ波を立てている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
「ローソンがゴディバジャパンに何度お願いしても扉を開いてくれなかった。ところが、トルコのイスタンブールにいる三菱商事の駐在員がゴディバのオーナーと知り合いで、『うちにはローソンがある、一緒に何かやりませんか』と。それで扉が開いた」
2017年9月に横浜市で開いたローソンの商品説明会で竹増貞信社長は、同社とゴディバのスイーツ共同開発のきっかけが、親会社の三菱商事だったというエピソードを紹介した。
この年の6月から、ゴディバと共同開発したショコラロールケーキ(395円)を発売。一般的なコンビニスイーツを上回る価格帯ながら人気を博した。その後もショコラプリンやタルトなどの商品を投入したほか、今年6月には「七夕向け」と称して、寒天でチョコなどを固めた1080円(税込)の高級スイーツを期間限定で販売したほどだ。
さて、そのトルコにいるゴディバのオーナーが、折からの通貨リラの下落で資金繰りに困窮したことから、日本事業が韓国やオセアニア事業と共に売却される方針であると報じられた。そして買い手として複数のファンドと共に、三菱商事の名前が挙がっている。
ゴディバの日本事業は、国内の駅や百貨店、ショッピングセンターなどに店舗を構え、売上高は400億円程度。日本でも高級チョコレートとしてブランドを確立しており、業績は増収増益基調が続いていて好調だ。15年までは食品輸入会社の片岡物産が販売の一部を手掛けていたが、現在は全て直営店で、全株式をゴディバ本社が保有している。