日本企業とサムスンとの
決定的な違いとは?

 サムスンが世界市場に進出するにあたり、もっとも重視した戦略の1つが「人材育成」です。

 当初は日本企業に押されていた海外市場で、「時間がかかっても市場にじっくり入り込み、地道に販路を確保していく」というサムスンの戦略は、時間はかかりながらも次第に成功を収めました。日本企業が製品力に頼り、海外での販路拡大を海外のジョイントベンチャーや現地社員などに任せる一方、サムスンは、それぞれの海外市場に対して、現地社員と同様にローカル市場に入り込める人材を本社から送り込み、本社と連携しながらトップセールスを仕掛けていくことを重視したのです。

 例えば、日本企業の海外法人というと、多くの場合、社長をはじめとする経営上の要職に駐在員として日本人が本社から派遣されています。しかも、例外的な場合を除けば、3年程度の任期で入れ替わっていくケースが少なくありません。

 この場合、確かに海外現地法人と本社との連携はスムーズに行われます。しかし、海外市場の商習慣、コミュニケーション、人脈といった部分に入り込み、現地の取引先と、競合企業以上の信頼関係を結んでいったり、新たな取引先を他社に先駆けて見つけてきたりといったことは容易ではありません。そういう仕事は、「海外現地社員や外部委託に任せる」形になります。

 かつては、製品の品質やブランド力で勝負できていた日本企業ですが、製造コストが下がり技術の普及スピードが向上した昨今では、品質で大きな差別化を図ることができなくなりました。そして、営業力やサービスの品質による差、つまり人材の差が事業に大きく影響を及ぼすようになってきたわけです。

 一方でサムスンは、本社から現地法人に赴任する形は同じですが、本社との連携の良さを維持したまま、現地に赴任する社員が徹底的にローカル市場に入り込み、トップセールスをかけて事業を拡大していきます。

 では、サムスンはどのようにして、ローカル市場に入り込める人材を世界中に送り込んできたのでしょうか。