東京ヴェルディ東京ヴェルディは10年ぶりのJ1復帰を目指します 写真:長田洋平/アフロスポーツ

来シーズンのJ1を戦う18チームの中で、最後の1枠を争うJ1参入プレーオフ決定戦が8日午後2時、J1・16位のジュビロ磐田とJ2・6位の東京ヴェルディの顔合わせでキックオフを迎える。ホームのヤマハスタジアムで戦うジュビロは引き分け以上で残留を勝ち取れるが、下克上の連続の末に勝ち上がってきたヴェルディも勢いと自信に満ちている。ともにかつては黄金時代を築き上げながら、ジュビロはタイトル獲得から、ヴェルディはJ1の舞台そのものから遠ざかってきた。両チームが歩んできた苦難の軌跡や現在地を、大一番を前にあらためて振り返る。(ノンフィクションライター 藤江直人)

名門ジュビロが16位でプレーオフへ
名波監督就任も今シーズンは低迷

 天国と地獄を隔てる、運命の大一番のキックオフが迫ってきた。来シーズンのJ1を戦う18チームの中で、最後の1枠を争うJ1参入プレーオフ決定戦。J1で16位に終わったジュビロ磐田がホームのヤマハスタジアムで、J2の6位から勝ち上がってきた東京ヴェルディと激突する。

 2012シーズンから5年間は、J2の3位から6位までの4チームがJ1昇格プレーオフに参戦。トーナメントを勝ち上がったチームが、自動的にJ1へ昇格してきた。一転して今シーズンからはJ1の16位が自動降格ではなく、プレーオフに回るレギュレーションに変更されている。

 J1勢とJ2勢が入れ替え戦の形で激突するのは2008シーズン以来、10年ぶりとなる。J1の16位はくしくもジュビロであり、J2で3位に食い込んだベガルタ仙台を2戦合計で3-2のスコアで下して残留を決めている。今シーズンの指揮を執る名波浩監督が、現役に別れを告げた年でもあった。

 1990年代の後半から鹿島アントラーズと二強時代を形成。1997、1999、2002シーズンとJ1年間王者を獲得したジュビロの輝かしい軌跡を振り返った時、入れ替え戦に回った2008シーズンは、凋落していく渦中にあったチーム力が順位に色濃く反映された年だったと言っていい。

 黄金時代は司令塔の名波や、ともに得点王を獲得した中山雅史と高原直泰の2トップ、藤田俊哉や服部年宏、福西崇史らの中盤、そしてDF田中誠らの主力が、当時の日本代表にも名前を連ねた。Jリーグ最優秀選手賞(MVP)にもドゥンガ、中山、藤田、高原と歴代最多の4人を輩出している。