ジョージ・H・W・ブッシュ氏は死去に際し、おそらく存命中の誰にもできないことをやって見せた。過去のワシントンと現在のワシントン、最も偉大な世代(第2次世界大戦世代)とベビーブーマーやミレニアル世代、古い共和党と新しい共和党、さらにはリベラルと保守を一つにまとめたのだ。5日の国葬に集まった参列者が大きい洞窟のようなワシントン大聖堂の椅子を埋め尽くすのを見て、こう思わずにはいられなかった――生前に品位と慎みで知られた第41代大統領があの世からそうした資質を使い、再び一堂に会することはないであろう人々を結び付けたのだと。どこかちぐはぐな印象もあった。手書きの礼状を極めた指導者が、政治的な暴言がネット上に飛び交う時代の中で見送られたのだ。伝記作家のジョン・ミーチャム氏が「米国で最後の偉大な軍人・政治家」とブッシュ氏をたたえた際、同氏を過ぎ去った時代の代表だとみなしたように見えた。