イギリスのメイ首相Photo:Reuters

 英国のテリーザ・メイ首相は10日、自らが欧州連合(EU)との交渉で確保したブレグジット(英国のEU離脱)協定の合意案について、重要な議会採決を延期した。首相がその要因に挙げたのが、アイルランド島内に目に見える国境が出現するのを避けるための条項に関し、議員らが抱く「広範で深刻な懸念」だ。アイルランド島をめぐる条項がなぜそれほど難しい問題なのかを解説する。

アイルランド島内に関税の国境が生じるのか、懸念材料は

 英領の北アイルランドを含む英国全体が3月29日にEUを離脱する予定だが、アイルランドはEU加盟国であり続ける。アイルランド島内を南北に分ける国境はかつて宗派と帰属をめぐる紛争の火種だった。英、アイルランド両国政府ともに、こうした事態の再燃を避けたいと望んでいる。

 英国はEUの単一市場と関税同盟からの離脱を提案している。これは通常、EUと英国の間で物品を移動する際に税関審査、基準審査などが必要になることを意味する。協定合意案には、こうしたアイルランド島内での国境管理を不要にするための、いわゆる「バックストップ(安全策)条項」が盛り込まれている。