山口県宇部市の「ひきこもり地域支援ネットワーク」で家族をポジティブに支える取り組みが、家族関係に変化を起こすとして注目されている。どんな支援をしているのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「引きこもり」家族に新たな変化を
注目される山口県宇部市の取組み

 山口県宇部市の「ひきこもり地域支援ネットワーク」で家族をポジティブに支える取り組みが、「家族関係に変化を起こす」として注目されている。

 同市では2015年度4月から「ひきこもり相談窓口」を開設した。そして、NPO法人がサポートする居場所を拠点に家族会、精神保健福祉センター、保健所と「地域支援ネットワーク」をつくり、個別相談や家族心理教育、アウトリーチ、居場所通所支援、就労支援、「ひきこもり本人」の声の上映なども行っている。

 この「地域支援ネットワーク」のプログラムをサポートしているのは、山口大学大学院医学系研究科の山根俊恵教授(保健学)が主宰するNPO「ふらっとコミュニティ」。支援対象者も引きこもり家族だけでなく、「8050問題」(80代の親と50代の収入のない子の課題)などの複合的な孤立では、家族が相談に来れないことも多いため、、ケアマネジャーなどの支援者からの相談もすべて受け付けているのが特徴だ。

 これまでに同プログラムで相談を受けた家族の事例は、初年度から3年間に100件近く。今年度に入ってからは、すでに50件を超えている。

 山根教授によると、それ以前から家族会に5年間在籍し、親子関係に全く変化がなかった当時10代後半から40代までの引きこもり当事者のいる家族8人に、独自に開発した同プログラムで3年間対応した結果、全事例で部屋にこもりがちだった本人が外出できるようになり、ほとんど話せなかった親子の間でも日常会話ができるようになったという。また、食事も一緒にできるようになり、家事を手伝ったり、就労にまでつながったりする事例もあったという。

 2018年に入って相次いで明るみに出た「8050世帯」の遺体遺棄事件などの悲劇の中にも、実際には役所に相談したのに支援が途絶え、親子の世帯ごと地域で孤立して「助けてもらえなかった」ケースが、筆者の元に何件も報告されてくる。

「最近、高齢者からの相談が増えていますが、たらい回しにされてきた人たちも少なくありません。行政は“連携を図っている”と言っていますが、全国的にも連携が図られていないのが現実なのでしょうね」