武道家の荒谷卓氏は陸上自衛官時代、日本に特殊部隊を創設すべく、アメリカ陸軍特殊部隊グリーンベレーに半年間留学した。そこでの過酷な訓練は、まさに極限状態そのものだったという。荒谷氏の新著『自分を強くする動じない力』の中から、ストレスやプレッシャーを克服し、「動じない強い自分」をつくるための心の持ち方を伝授する。
日本にも特殊部隊をつくろうと
画策した“外圧作戦”
私が「特殊部隊」をつくろうと思ったのは、陸上自衛隊習志野駐屯地の空挺団のパラシュート部隊にいた頃です。
特殊部隊は外国にはあるのに、日本にはない。これではいけないということで、アメリカの特殊部隊とコンタクトをとりました。
ただ、そのとき私は防衛行政上のポストにはいなかったので、まったくと言っていいほど権限がありません。情報は収集できても、具体的に進めることができませんでした。
ところがその後、私のドイツ留学をきっかけに状況は一変します。当時、ドイツがちょうど特殊部隊を編成している最中だったので、留学中にその部隊の実情をつぶさに研究し見識を備えました。そして、留学から戻ると、防衛庁の防衛行政の中枢で仕事をすることになりました。