(4)ネット取引

 個人の、特に株式の取引は手数料が安いネット証券に多くがシフトした。ネット専業証券は、今や証券業界の一角に1つの勢力として定着したと見てよかろう。手前味噌ながら(注:筆者はネット証券の社員である)、これは個人投資家にとって大変いい変化だった。

 また、ネット証券の他に、日本版金融ビッグバンで外国為替取引が広く解禁されたことを受けて、多くの業者がネット取引による個人向けの外国為替取引に参入した。通称「FX」こと外国為替証拠金取引は、今や個人が小口の資金で楽しむことができる娯楽の1つとなった。

 外国為替取引は基本的にゼロサムゲームであって、資本を提供してリターンを得ようとする「投資」とは異質だが、個人が楽しむことのできるゲームが1つ増えたという点は評価してよかろう。

 もっとも、FX取引の参加者の8割とも9割ともいわれる多数が、FX取引で損をしているといわれており、しかも、過去に取引をしていた人が儲かっていればなかなか止めないであろうことを思うと、「FXは儲けにくいゲーム」であり、参加者の通算損益的には死屍累々である。

 個人の資産形成に資する手段ではないと言い切っていいだろう。

 他方、資産運用向けの商品は今のところ多くないが、ネット生保の参入もあった。生保業界におけるネット生保は、いまだ証券界におけるネット証券ほどの存在感を持つに至っていない。「保険料が安い」ことのメリットが、ネット証券における株式売買手数料(投資信託も販売手数料がゼロの「ノーロード」が多いが)の場合ほど多くの人に分かりやすく訴求できていない。