テクノロジーの進化は、「スーパースター」社員が「スーパースター」企業で働き、「スーパースター」都市を形成する経済を生み出している。その結果、過去1世紀には見られなかった特定の地域への富の偏在が起きている。例えばアップルは先に、10億ドル(約1130億円)を投じて人材豊富なテキサス州オースティンに新社屋を建設すると発表した。最大1万5000人が働けるようにするという。アマゾンも最近、第2本社を既存のスーパースター都市(ニューヨークと首都ワシントン)に置くことを決めた。エコノミストが形容詞として使う「スーパースター」は、1980年代初めに記された「スーパースターの経済学」で示された現象を意味する。スーパースター現象は当初はマスメディアが作り出していたが、インターネットによって行き過ぎた現象になった。あらゆるものがかつてないほど多くの人に行き渡るようになった時代に、銀行や企業の幹部、プログラマー、インスタグラムのインフルエンサー、需要の高い技術を持つ人材というエリート層の収入は中間層の収入をはるかに上回るペースで増えている。