日本と同様、韓国のマスコミ業界もゆがんでいます。大手新聞社と財界、政界とのなれ合いやオーナー支配の存在など、“権力との癒着”もささやかれる韓流メディアの信頼は、確実に失墜しつつあります。権力にかみつくことが出来ない、保守的なメディアに未来はあるのでしょうか。それぞれの思想や特徴をふまえながら、韓流メディアの問題を解剖します。(本記事は週刊ダイヤモンド2015年10月31日号第一特集「日韓本当の大問題」からの抜粋です)※肩書きはすべて当時
「確かに中央日報はサムスンの批判をしにくい」──。「中央日報」のある記者は苦々しい表情で本音を漏らした。韓国のメディア関係者なら誰もが認識している公然の秘密である。
中央日報は1965年にサムスングループ創業者の李秉喆(イ・ビョンチョル)によって、サムスン系の夕刊紙として創刊された。現在は直接的な資本関係こそないが、中央日報のオーナー、洪錫炫(ホン・ソクヒョン)会長はサムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)会長の妻の弟で「洪オーナーがいる限り、中央日報はサムスングループ」(韓国メディア関係者)とやゆされている。
「朝中東(チョチュンドン)」と呼ばれ、韓国で発行部数上位3紙の「朝鮮日報」、「中央日報」、「東亜日報」はいずれも保守系であり、オーナーがいる。彼らは財界とも強く結び付き、「各紙の編集に影響する場合もある」(大手紙記者)。