経営×経理

 また、人事部側に「適材適所に人員が配置されているのか、本当のところは疑問……」「各部門長から人事考課表が上がってくるものの、グレーゾーンのところも正直あるし……」との悩みがあれば、経理部側は社員らの貢献度に力点を置いた月次の資料作成を検討するかもしれません。

 つまりこのステップでは、互いが今まで見えなかった取り組みの中における課題や悩みどころを共有しあい、それぞれの新たな役割を見出すことが目的なのです。

【ステップ2】
経理部から人事部に
実績を公開して検証

 次のステップでは、経理側の専門分野である予算実績差異や前年同月比数値についての分析を、人事部の視点で見てもらうことです。毎月、経理部側はこれらの資料を公開する前に、「A商品の売上減少により、利益率が下降した」「この商品は利幅が大きいので、営業部に現状を示して、販売戦略を改めて練ってもらうことは可能か」というように、実績の分析と改善案を検討する場を設けているところもあるでしょう。

 ただ、同じ実績値であっても人事の視点で見れば、ひょっとしたら「A商品の専門知識が豊富で販路拡大が得意な営業課員Cが、係替えのため現場に出向かなくなったことも影響しているかもしれない」と、経理部が知り得ない事実が炙り出されるかもしれません。

 もちろん、互いに守秘義務があるでしょうが、このように実績値のウラにある社員の影響度が見えるようになれば、人事側は適材適所の人員配置や人事考課の方法についても改善策を見出すようになり、経理部側は人事部側の要望をさらに聞き出して、解かりやすいデータの提示を試みるようになるでしょう。こうしたことを重ねていくことで、自社にとってどのようなスタイルで経理部と人事部が連携すれば、社員各人の潜在能力を発揮して部署ごとの実績アップが可能なのか、大まかな傾向が見えてくるはずなのです。

 双方の専門的かつ異なる視点が融合すれば、互いの仕事において付加価値が向上する可能性が高まるでしょう。

【ステップ3】
連携の今後を見極め
ルーティン化

 最後のステップでは、これまでの2つのステップを通じて、経理部が人事部と連携しながら見つけ出した双方の役割について、今後は具体的にどのように継続していくのかを検証し、決めていくことが肝要です。

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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