実は、外国人労働者の受け入れについては、すでに15年前の2003年に経団連が、「外国人受け入れ問題に関する中間とりまとめ~多様性のダイナミズムを実現するために『人材開国』を~」という報告書を公開している。

 この報告書は、日本全体の競争力を高めるために、専門的・技術的分野の外国人、現場で働く外国人のいずれの場合においても、秩序ある受け入れのために制度改革を急ぐべきであると呼び掛けたものだ。

 外国人に「行ってみたい、住んでみたい、働いてみたい、投資してみたい」と思われるような「活力と魅力あふれる日本」を作り上げるという新しいビジョンも提起し、「外国人の受け入れは、日本と近隣諸国との共存共栄の関係を崩すようなものであってはならない」という注意も喚起していた。

 そういう意味で、今回の外国人労働者の受け入れに対するアプローチは15年前からすでに始まっていたと見ていい。

 しかし、長年、研修生や技能実習生などを取材してきた私から見れば、外国人労働者を受け入れることは、決して人数を決めてその入国を認めるぐらいの生易しい問題ではなく、より真剣に考えるべき問題だと思う。政府が数十億円の交付金を注ぎ込んで外国人相談窓口を設置すること自体も、その問題の複雑さを裏付けている。

受け入れ企業側に法意識の欠如
過去には賃金のピンハネも

 一方、日本社会と企業は、本当に外国人労働者の受け入れに必要な“心構え”ができているのか、私は疑問をもっている。これまで私が関わった案件の範囲で見ても、労働現場で起きた外国人労働者問題の多くが、受け入れ企業側の法意識の欠如に原因があった。

 例えば1998年11月18日、外国人研修生受け入れ団体「全国生鮮食品ロジスティクス協同組合」が、外国人研修制度を悪用して中国人技能実習生約230人から賃金を“ピンハネ”していた。そのため、協同組合の代表理事と、関連会社の社長が逮捕され、裁判でも有罪判決が出た。この協同組合は最終的に、負債総額約18億円で倒産した。