ウェブは新規、アプリは既存顧客ですみ分け

――サブスクの変化には何があったのでしょう。

 大きいのはスマートフォンの普及。つまり、アプリの登場です。実は、同じデジタルでもウェブの思想はいまだに売り切り型なんです。ウェブに入ってきた人のうち、何%が売り上げに貢献するか、すなわちコンバージョンレートを上げることが重要です。

 ECサイトが分かりやすい例です。SEO対策に加え、リスティング広告などで出稿をかけて、その広告費に見合う売り上げが立つかどうかの世界だった。

 もちろん、彼らもメールマガジンなどでリピーターを作ろうとしてきたが、BtoCのコミュニケーションにおいてメールの価値は相対的に下がっている。SNSが普及して、消費者はメールをもう見ないですし、メールボックスはスパムの壺みたいになっている。

――そこにきてアプリが有効だと。

 そうです。アプリはリテンション(既存顧客の維持)において、非常に効果的です。実際、特に米国では、ウェブでは新規ユーザー獲得、アプリはリテンションのチャネルとして明確にすみ分けされています。

 アプリは、企業側から直接メッセージを届けることでプッシュ型のコミュニケーションができるのが最大の強みです。しかも、手元のスマホの中に常にある時点で、かなりのマインドシェアも獲得できます。

 ただし、アプリのプッシュ通知はもろ刃の剣でもある。企業側から高頻度で鬱陶しい通知が届くと、ブランドロイヤリティは下がるし、プッシュ通知をオフにされて効果がなくなる。場合によってはアンインストールまでされてしまう。やみくもにメッセージを送ればいいわけではない。

 アプリでの継続率を上げるには、アプリから収集したデータを基に顧客の趣味嗜好や状態を理解した上で、コミュニケーションをパーソナライズすることが重要です。だからこそ、サブスクにおいてアプリマーケティングが必須というわけです。