週刊ダイヤモンド2月2日号の第一特集は「サブスク革命 定額課金の衝撃」。継続的に顧客に課金し、商品やサービスを利用してもらうサブスクリプション型のビジネスモデルの最前線をレポートしました。サブスク管理プラットフォーム大手、ズオラ創業者で、10月に『サブスクリプション』を上梓したティエン・ツォCEOのインタビュー(下)をお届けします。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集長 麻生祐司、構成/週刊ダイヤモンド副編集長兼ダイヤモンド・オンライン副編集長 山口圭介)
――拡大しているサブスクリプション・ビジネスで成功している企業はどうやって新たな商機を見出したのでしょうか。
これは3年生の算数のように簡単なことです。多くの会社がデータを持っていないだけで、データさえあれば魔法のようにうまくいきます。私がかつて在籍していたCRM(顧客情報管理)大手のSalesforceも同じでした。
SalesforceはまだWi-Fiもない、ダイヤルインの時代に始まりました。Salesforceは当時ソフトウェアのエンジニア集団でしたが、インターネットのサービスを始めたところ、実際にユーザーが何をしているのか知ることができたのです。
具体的には、ユーザーが何に登録したのかだけでなく、登録後一度もログインしていない、またはログインはしたけれど連絡先を記入しなかったなど、さまざまな情報が全て見えるようになったわけです。自社の方針、ビジネスプロセス、決断の仕方などを、目の前にあるそうした情報に適応させ、より健全な会社を作り上げていきました。
読者が何を読んでいるのか、何を求めているのか――。あなたがたメディアに同じことができないという理由はありません。
――その通りですね。私たちもユーザー情報に焦点を当てなければなりません。
大切なのはユーザーとどう接点を持つかということです。実際に何か問題があったユーザーから連絡してくるのを待っているのではなく、Salesforceでは私たちの方から電話をかけていました。そしてこう言うのです。「サービスにログインしていないようですが、何かお手伝いできることはありますか」と。今は自動化されましたが、最初の1年は本当に電話をして「何か問題がありますか」と聞いていました。