日米同盟が
合理的選択である理由

 国家は地球上に存在し、地球の資源や食料には限りがあります。これらの分布には偏りがあり、物資を運ぶルート(多くは海上ルート、シーレーン)も島や半島に遮られて限定されます。このルートを敵対勢力に握られると、その国家は立ち行かなくなります。

 日本は、石油と天然ガスを中東に依存しており、ペルシア湾→インド洋→マラッカ海峡→南シナ海→東シナ海のシーレーンが「命綱」です。現在このルートを制圧しているのは、米海軍の第七艦隊です。第七艦隊の母港は横須賀にあります。

 日米同盟(日米安保条約)が必要なのはこういう理由であり、もし日米同盟をやめるのなら、海上自衛隊が南シナ海やマラッカ海峡まで出張して日本のタンカーを警備しなければなりません。そのコストと人的負担は膨大なものとなるでしょう。日米同盟は、今のところ合理的選択なのです。

 ただし、「永遠の同盟はない」(19世紀イギリスの外相パーマストンの言葉)ということを忘れてはなりません。トランプの次の政権が、親中政権になる可能性もあります。そういう場合に備えて、自衛力の強化も必要です。

 2015年、自民党の総裁選出馬を目指していた野田聖子元総務大臣は、中国の南シナ海への軍事進出について日本テレビの番組で質問された時、「直接日本には関係ない」と答えました。日本の首相を目指そうという人が、この程度の認識しかないことに呆然とします。もっともこれは野田聖子さんだけの問題ではなく、日本の教育全体の問題でもあります。膨大な知識を覚えさせる高校教科書ですが、シーレーン防衛などの地政学的な発想は徹底的に無視されてきたのです。

なぜ中国海軍の増強が
急ピッチで進んだのか?

 毛沢東時代の中国は自給自足の鎖国状態にあり、長い国境を接するロシア(ソ連)を最大の仮想敵国としてきました。典型的な大陸国家――「ランドパワー」だったのです。