オーナーだった男性は、2016年にFCの本部に加盟金200万円を払って、自宅がある市の郊外に出店した。

 本部からは「毎月100万円ぐらいの売り上げは出る」と勧誘され、「それなら十分、食べていけそう」と算段した。

 だが、始めて1年を過ぎても実際の売り上げは60万円にもならない月が続いた。人件費やFC本部への月5万円のロイヤリティーなどを支払うと、手元に残る利益は月10万円から20万円。生活するのもやっとだった。

 開業して半年ほどたったころからは、ロイヤリティーの支払いを滞納するようになった。実際、払う余裕がなかったのと、契約前に本部から聞かされた話が違い、「だまされた」との思いもあったからだ。

 本部からは催促状が2ヵ月ごとに届いた。滞納が何ヵ月か続くと、一部を払い、また督促状がたまると少し払うという繰り返しだったが、2017年半ばには、FCの本部から、「契約違反で、加盟店をやめてもらう」という内容の内容証明郵便が届いたという。

 男性は「本部からウソの売り上げ予測を示され、契約させられた。訴訟も考えた」。だが弁護士費用を工面するあてもなく、結局、加盟店をやめた。

 この話を聞くと、一見、男性側に非があるとも思えるが、FCの本部にこうした形で勧誘されて加盟店になったものの、話の通りにはならず、だまされた思いで退場する例は氷山の一角のようだ。

この5年で約300件の訴訟
外食やサービスで増える

 FC本部と加盟店の間で契約や金銭を巡るトラブルでの裁判はこの5年で300件近くに及ぶ。

 これまで多かったコンビニなどのほかに、最近はそれ以外の外食やサービス業でも目立つようになっている。

 では、どんなケースで本部と加盟店は対立に至るのか。

 この問題に詳しい弁護士の話では、FC本部と加盟店が訴訟に至る原因はだいたい2つに集約される。

 加盟店がFC本部を訴える場合は、契約前に示された売り上げ予想が現実と大きく違っていたことを問う場合が多い。

 前述のように、例えば、「月150万円は売り上げが出る」と、本部から言われて、契約し、加盟料を百数十万円払うが、実際に営業を始めてみると、毎月の売り上げがその2分の1や3分の1にも満たない、というケースだ。

 ほかにも「約束された本部の支援が全くなかった」ことを問題にした訴訟もある。