日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」のやらせ疑惑が話題になっている。テレビにおける「やらせ」と「演出」のボーダーは、常にグレーゾーンとして扱われてきた。「やらせ」と「演出」の境界線はどこにあるのか、そして視聴者はテレビとどう接するべきなのか。お笑い評論家のラリー遠田氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
「やらせ」と「演出」の認識
テレビ制作の実態
昨年11月、「週刊文春」が、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」において“やらせ”があったと報じた一件は、いまだに沈静化していない。
日本テレビ側は「過去に放送した番組についても調査を進めている」としBPO(放送倫理・番組向上機構)への報告を明言しているが、BPOの判断次第では、番組打ち切りもあり得るという状況だ。
テレビにおける「やらせ」は以前から何度となく議論されてきた問題だ。「やらせ」と「演出の範囲内」という曖昧な境界線が、番組の命取りになったこともある。
ただし、ラリー遠田氏によれば、この「やらせ」と「演出」の認識は、一般人と業界人の間ではかなり異なっている部分があるという。
「一般的に『0から1』のように、何もないところから作ってしまうのが『やらせ』。『1から2、3』とすでにある素材をどう料理するかが『演出』と認識されています。しかし、業界人の認識では『演出』と呼ばれるものが、一般の人からみれば『やらせ』とも取れるケースが多々あります」(ラリー遠田氏、以下同)
「たとえば一般人に対するインタビューでは、言い方がよくない、使えないという理由で、もう1回コメントをもらうようなケースは業界において日常茶飯事です。業界にとっては『演出』の常識的な範囲内ですが、一般の人は『やらせ』と受け取るかもしれません」
テレビの業界人にとっても一般人にとっても「0から1」は「やらせ」という認識は共通だが、「1から2」を「やらせ」とするか「演出」とするかは、ケース・バイ・ケースで認識が異なるということのようだ。