曖昧な境界線を定めることは可能か?
関係者と視聴者に求められるもの

 変わりゆく時代のなかで、テレビ局側も許容範囲を模索し続けているが、「やらせ」と「演出」の境界線はどこに定めるべきなのだろうか。

「具体的な基準を定めることは永遠にできないと思います。ただ言えるのは、取材対象者と視聴者との信頼関係次第で『やらせ』か否かが決まると思います。たとえば街ブラの番組で、実はお店を仕込んでいるということはよくあります。その場合、番組スタッフの対応が悪くて不信感を持たれると、バラされて問題になってしまう。でも、信頼関係があればお店側も積極的に演者となって番組は成立するのです」

 もうひとつは視聴者と番組の信頼関係だという。「イッテQ!」は、これまで視聴者を存分に楽しませてきた歴史があるため、番組自体が視聴者に認められている。「面白かったのだから」と、「イッテQ!」を養護する声も多いのだ。

「要は制作者、取材対象者、視聴者の信頼関係の問題です。それ次第で曖昧なやらせのゾーンは変動します。そこを見極めることも、これからのテレビマンには求められます」

 現在は昔と比べて確実に「演出」に対する目が厳しくなっているが、その一方で、「だからテレビがつまらなくなる」という声も上がっている。そうであるなら、我々視聴者はどのようにテレビを見れば良いのか。

「視聴者に『やらせか演出か』というテレビの『怪しさ』をも面白がる姿勢があったら、もっと能動的にテレビを楽しめると思います。テレビの面白さは『やらせスレスレの過剰な演出』だけではありません。視聴者自身が、積極的に面白さを見つけていけば、テレビのレベルは上がっていくでしょう」

 ネット配信の隆盛などでテレビを取り巻く環境は目まぐるしく変わっている。テレビ関係者と同様に、視聴者もテレビへの接し方を考える時なのかもしれない。