市場が混乱すると円高になるのは「円が安全資産」だからではない理由
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円が安全だから
買われるというわけではない

 昨年12月から年初にかけて、世界的に株価が暴落したが、同時に円高となった。世界的な株安と円高の同時進行は今回に限ったことではなく、世界の金融市場が動揺すると「投資家のリスク回避のために、安全資産である円が買われた」という報道とともに円高になることが多い。

 しかし、円が安全資産だという説明には、違和感を持たざるを得ない。世界最強の軍事力を持つ米国に守られている国であり、政府の借金が巨額で財政破綻を心配している人もいるという国の通貨が、ドルやユーロより安全だとは到底思えないからだ。

 リーマンショックのときには円高となり、「安全通貨の円が買われた」と説明されても、違和感はなかった。当時は、米国と欧州が金融危機に苦しんでいる一方、日本の銀行は相対的に健全で、日本は金融危機には陥らなかったからだ。恐らくそのときの「成功体験」を引きずった人々が、同じ表現をその後も使い続けているのだろう。

 そうした人の中には、金融危機などで円高になる本当の理由を知らない人も、知っているけれども説明が長くなるのを避けたい人も、両方いると思われる。