私は、このように、市民を単なる「お客様」にせず、市民や事業者とともに汗をかきながらまちづくりを進めることができている街を「自治体3.0」と呼び、地方創生時代の自治体が目指す理想的な方向性と位置づけています。

自治体1.0はいわゆる「お役所仕事」をしている自治体

 では、どうしてこのようなまちづくりが不可欠なのでしょうか。自治体1.0や自治体2.0との違いに触れながら、その理由や意義を説明します。

 まず、自治体1.0とは、人口減少や少子高齢化をはじめとする社会の大きな課題や財政危機等に直面してもなお「もうしばらくは何とかなる」「仕方ない」という自治体で、地方創生を形にしようという気概からはほど遠く、接遇にすら問題を抱える自治体です。メディアが「お役所仕事」として自治体を語るときのイメージがこの1.0の自治体です。

 これに対し、自治体2.0とは、自治体1.0に対する市民やメディアからの批判が集まる中、「改革派」といわれる首長が登場し、民間企業のスピード感やコスト意識を持って、財政再建・行政改革などに取り組む自治体です。首長のトップダウンの下、「市民はお客様」という意識での接遇改善を進め、スピード感を持って市民ニーズに応え、一定の成果を出している点は評価されるべきことです。

自治体2.0は民間企業のスピードと
コスト感を持って取り組むが課題も

 改革派首長に率いられた自治体2.0には多くの課題も顕在化しています。

 第1に、職員数が減り、予算が厳しさを増す中で、多様化・専門化する市民ニーズのすべてに対応することは不可能だからです。「市民はお客様」「行政は市民のニーズに全力で応えます」という発想自体が、現時点ですでに立ち行かなくなっていることは明白であり、無責任とすら言えます。