2018年も山口組総本部はハロウィーンの菓子配りを実施した。今年は金額にして100円アップ、付き添うであろう母親向けにトイレットペーパーも付けたという気の配りようである。警察や近隣小学校は指をくわえて見ているだけなのか?彼らへの取材で分かったのは、神戸市民の「山口組さん」への複雑な心境だった。(取材・文・写真/フリージャーナリスト 秋山謙一郎)
市民にファンを増やす
山口組のハロウィーン戦略
地域住民か、それとも反社会的勢力か。彼らをどう扱うか、市民たちはその答えを決めあぐねている――。
昨年10月31日、ハロウィーンの日。港町・神戸の閑静な住宅街では、今年も指定暴力団・山口組総本部(神戸市灘区)のハロウィーンが実施された。捜査関係者によると、その参加者は子ども約700人、大人約300人、合計1000人(いずれも延べ人数)に上った。捜査関係者のひとりによると、「年々、緩やかながらも増え続けている」のだそうだ。
今や毎年の恒例行事として全国的にも知られるようになった、この山口組による「ハロウィーンの菓子配り」。だが今回はいくつか例年とは異なる“変化”も見受けられた。
まずは市民の側だ。この反社会的勢力による恒例行事をけん制しようとパレードが行われた。もちろん、万が一にもパレード参加市民と山口組が衝突するようなことがあってはならない。そのため兵庫県警では例年にも増して警戒にあたる警察官の数を増やし対応にあたった。
しかし、そうした動きもむなしく、今年も例年通り、16時頃、総本部のシャッターが開いて菓子配りが実施された。