それでも、カズは昨シーズンの終盤から現役続行を表明していた。これも恒例となっている常夏の島グアムでの過酷な自主トレを年末、年始と2度に渡って敢行している。横浜FCから契約更新が発表された11日は、まさに2度目のグアムで自らを追い込んでいる最中だった。

 背番号にちなんだ発表は、いわば儀式と言っていい。カズが望む限り現役を続ける、と表現すれば大げさだろうか。J2の開幕戦が50歳の誕生日と重なる偶然に導かれた2017年2月26日。観戦に訪れたカズの父、納谷宣雄さんに単刀直入で聞いたことがある。何歳まで続けるのか、と。

 静岡学園高校を1年生の12月で中退したカズが、単身でブラジルへ渡る道筋を作るなど、サッカー人生に大きな影響を与えてきた宣雄さんは「もうそろそろですよ」と、豪快に笑いながら言葉を返してくれた。

「知良が燃え尽きる前に、だね。まあ、知良が自分で判断するよ」

 宣雄さんの考えに沿えば、カズの胸中ではまだまだ情熱の炎が燃え盛っていることになる。昨年末に都内でカズのトークショーが開催された。前日にグアムでの第1次自主トレを打ち上げ、帰国していたカズは日焼けした精かんな表情を綻ばせながら、終了後にこんな言葉を残している。

「Jリーグの監督も50代が少なくなってきて、40代がだいぶ増えていますよね。そういう年齢だし、自然なことだと思いますけど、僕は単純というか純粋にサッカーが大好きなんです。それもサッカーを見ることや自分が指導することよりも、やはりプレーすることが一番好きで、そういう情熱が衰えないんです」

 Jリーグの歴史を彩ってきた盟友たちは次々とスパイクを脱ぎ、第2のサッカー人生を歩み始めている。2019シーズンのJリーグを戦う58チームのうち、指導体制が決まっているのは14日時点で57チーム。そのうち実に6割を超える35チームの監督が、1967年2月26日生まれのカズよりも年下だ。

 日本代表で何度もともに戦った46歳の森島寛晃氏は昨年末に、ヤンマー時代からひと筋でプレーしてきたセレッソ大阪の代表取締役社長に就いた。日本代表を率いて、UAE(アラブ首長国連邦)でアジアカップを戦っている森保一監督も日本代表の盟友であり、カズよりも年下の50歳だ。

 ベテランと呼ばれる年齢になると、所属クラブでのプレーと並行して、日本サッカー協会(JFA)が発行する指導者公認ライセンスを取得する選手が少なくない。監督を務めるのに必要な最上位のS級ライセンスまで順次取得していく中で、カズは第一歩となるC級ライセンスすら取得していない。