これまで診断機器中心だったキヤノンが治療分野への進出に意欲を示し、ヘルスケア業界がざわついています。『週刊ダイヤモンド』1月19日号の第2特集は、「電機・精密・車 ヘルスケア争奪戦」。キヤノンが旧東芝メディカルシステムズを買収して医療機器に本格参入するなど電機・精密・自動車関連メーカーで近年ヘルスケア事業への進出が相次いでいます。その状況をまとめ、深層に迫りました。番外編第2弾として、再生医療で世界のトップランナーを自負する富士フイルムホールディングス取締役経営企画部長で富士フイルム取締役医薬品事業部長の岡田淳二氏のインタビューをお届けします。(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)

富士フイルムホールディングスの岡田淳二取締役
富士フイルムホールディングスの岡田淳二取締役
Photo by Masato Kato

――診断機器系は古くから手がけていましたが2008年に医薬品、10年に再生医療へ本格進出。富山化学工業、和光純薬工業の買収などM&A(企業の合併・買収)を国内外で積極的に展開しています。

 写真フイルムのビジネスが下降線を辿る2000年代前半に「第2の創業」ということで、何をするのか私たちの技術を総ざらいしました。そしてトップ(の古森重隆会長兼CEO)が強力なリーダーシップでリストラと成長投資を行いました。幸いにもキャッシュが潤沢にあったという環境も味方になりました。フィルム、印画紙の利益率は高かったですから。

――総合医療メーカーを標榜し、多方面に事業領域を拡大していますが、再生医療こそが本丸だと思います。将来有望とはいえリスクの高い分野ですが、中核に据える理由はどこにありますか。

メーンプレーヤーとなる挑戦権を得る

 私たちには、フィルムで培った要素技術があります。再生医療分野では、まだ確固たる地位を築いた企業は世界にありません。医薬品メーカーとしては、私たちは“後追い”です。大手の後を真似してついていってもなかなか採算性もよくないし効率が悪い。誰もやっていない分野にいち早く出ていけば、メーンプレーヤーとなる挑戦権を得られます。